芸術祭新人賞受賞!日吉章吾氏による「さん曲の会」
六瓢庵企画 第3弾をお届けします
こんにちは、地唄舞 花崎流家元の花崎杜季女(はなさき ときじょ)でございます。今回は、三鷹にございます和芸空間「六瓢庵(むびょうあん)」での企画第3弾となります「日吉章吾氏 さん曲の会」をご紹介いたします。
昨年度、芸術祭新人賞を受賞された日吉章吾先生による新たな試みを、ぜひ六瓢庵にてお聴きください!
“この度のプログラムで取り上げた3曲は、通常、三絃(さんげん:三味線)とともに箏(琴)や、尺八、胡弓と合奏される場合が多く、そのアンサンブルの妙味に大きな魅力があります。
しかし、今回は「六瓢庵」という楽器や唄の音色、また余韻をしっかり味わえる空間を活かし、合奏の中で主に骨組みとしての役割をになう三絃のみをあえて取り出すことにより、曲の「素」の面白さ、空白の魅力を追求してお届けします。”
三絃だけで奏でられる3つの世界
難波獅子(なにわじし)
江戸時代の中頃、1730年ごろ成立したと考えられ、歌詞は3首の和歌から構成されています。最初の和歌は日本の国歌「君が代」と共通しており、3首目の和歌は仁徳天皇が難波高津宮で詠まれたと言われ、曲名の由来にもなっています。
小品でありながら、曲調は格調高く、渋さの中に獅子踊の華やかさを秘めた名作です。
楫枕(かじまくら)
地歌箏曲の「手事物(てごともの:地歌箏曲のうち器楽的演奏を聞かせることを目的としたパート「手事」に比重をおいた楽曲)というジャンルのヒットメーカー・菊岡検校(けんぎょう)の作と伝えられ、江戸時代の後期、1840年代に成立したと考えられています。
夜毎、違う客の相手をしなければならない遊女の気持ちを、いくあてもない舟での旅寝に例えながら、そんな中にあっても、「運命の人」と結ばれることを堅く信じる切ない心情を歌います。
歌と歌の間の長い間奏部分「手事(てごと)」の技巧的な三絃もききどころです。
こんかい
3曲目の《こんかい》は、江戸時代の中頃、1703年には曲の大半が成立し、1750年代には現在の形に近いものになったのではないかと考えられている曲です。
母親の病を治すために招いた祈祷法師は、実は母親を恋慕う狐。しかも、母親の病自体、狐の仕業であることが明らかになります。追い払われた狐は、しかし何度も振り返りながら山へ帰っていく・・・というストーリーが劇的な曲調でかたられます。
随所に当時の流行歌が詠み込まれ、歌舞伎の所作歌(一種の伴奏音楽)としても人気のあったことが窺われます。
近代になり、宮城道雄が超絶技巧的な箏のパートを作曲したことで、箏の奏者の技量を発揮できる曲としても人気がありますが、今回は敢えて技巧的な箏のパートは入れず、三絃のみで物語をどれだけ醸しだせるか、挑戦します。
イベント情報
- 日時
- 終了|2017/06/24(土)14:00
- 場所
-
和芸空間 六瓢庵
東京都武蔵野市西久保1-10-1
- アクセス
- JR三鷹駅北口 徒歩4分
- 費用
- 2,500円(自由席)
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