学生による学生のための伝統文化イベント「日本に恋する一日」がアツかった!
日本の伝統とはなにか、継承するためにはなにが必要なのか
織物・焼き物・地域活性化・ふるさと納税など、伝統産業・伝統文化を取り巻く方々に訊く
本日は、アイセック東京大学委員会 すすめプロジェクト主催の伝統文化イベント「日本に恋する一日」に参加してきました!
日本の伝統文化に携わる企業や団体と一緒に、参加者である大学生や留学生が日本の伝統文化について一日考えるイベント。
浅草の文化観光センターにて行われたこの取り組みの様子をイベントレポートにてご紹介します。
午前中は茶道体験を通して日本の伝統文化を肌で感じたという参加者たち。ランチをとって親睦を深めたあとは、午後のプログラムに参加です。
アイスブレイク
まずはアイセックの活動紹介ということで、実際に海外からベトナムからインターンシップにきている女性や、受け入れをしている企業様の体験談を伺いました。
インターン生の女性は、アイセックのインターンによって、若い人が世界中の文化や人々を知り、つながり、理解することで平和や課題解決にもつながると思う、自分自身にとって大変良い経験だと熱く語ってくださいました。
キラキラした素敵な雰囲気に、海外インターンの大きな影響力を感じました!
アイセック東京大学委員会のなかで活動しているすすめプロジェクトでは、「衰退しつつある日本の伝統文化の伝承を持続可能的に推進する」をテーマに、インターンの受け入れ事業も行なっているとのこと。
代表の笠場氏が活動について熱く語ってくれました。
酒井織物様
塩沢紬(しおざわつむぎ)を作られている酒井織物様には、プロモーションムービーを見せていただきました。昔ながらの機械を用いてほとんどの工程を手作業で行なっているそうです。
さらに本塩沢という生地を実際に触らせていただきました。使っている糸の性質により生地に空気を含むため、肌触りや裾さばきがよく、夏はさらっと涼しく、冬はあたたかいそうです。
私も触らせていただきましたが、軽くて風通しのよさそうな、からっとした手触り。ハイヒールやトートバック、肌着など、新商品の開発にも力を入れられているそうです。
キハラ様
つづいて有田焼・波佐見焼(はさみやき)をはじめとする焼き物の商社・キハラ様のご紹介です。
キハラ様が扱うのは石から作る磁器。磁器とは、高温で焼かれ、たたくと澄んだ音がする、有田焼、九谷焼などのことです。有田焼は有田地区で1600年前後に原料が発見され、作られるようになったそうです。
有田焼は量産される焼き物のため、製造工程が分業制(石を取ってくる石屋さん、土を取ってくる土屋さん、器の型を作る型やさん、生地を作る生地やさん、焼成を行う窯元さんなど、全体がひとつのチーム)になっているそうです。
ライフスタイルの変化、安価な陶器の流入、若年層の職人の減少により、売り上げは一時、全盛期の5分の1まで落ち込んだというお話をしていただきました。
このあたりになると、参加者から活発な質問が飛び出し、学生たちも伝統産業を発展させていくための斬新な取り組みや思わぬ課題に刺激を受けた様子でした。
パネルディスカッション
休憩をはさんだ後、一般財団法人 地域活性機構様をモデレータに、パネルディスカッションが開始。まず自己紹介では、日本生産性本部様が地方創生カレッジ事業についてご紹介してくださいました。
せっかく魅力のある伝統があるのに、つながっていかないのは勿体無い。どのようにプロモーションすれば良いのかを多くの人が知っていれば、より伝統に触れやすくなるはず、という想いから始まった、e-ラーニング事業を行なっているそうです。
ふるさと納税ができるサイト「ふるさとチョイス」を運営されているトラスト・バンク様は、ふるさと納税によって、人口減少が問題化している地域の教育が無償化したりしていることをお話ししてくださいました。
質問1「伝統と海外について」
最初の質問は、「伝統」と「海外」の関係について。「市場がせばまっていく中、やはり大きな海外の市場に出なければならない。メイドインジャパンは信頼性があるので、知ってもらえればニーズはある。」という積極的な声がある一方、「この商品を誰に、どううるのかを考えていかずに失敗する事例は山ほどある。」と慎重な声も。
海外にモノを輸出するだけでなく、ライフスタイルを輸出する高知県の取り組みを紹介してくださった企業様もいらっしゃいました。
質問2「伝統をどうやって引き継いでいけばいいか」
続いての質問は、「次世代にこれからどのように伝統を引き継いでいけばいいのか」。私が印象に残ったのは、「その地域の人が日常的に触れる伝統と、都会の人が時折触れる伝統は違うもの。それぞれに応じた貢献の仕方を考えていくことが必要。」といったご意見や、「古くから携わっている人と、新たな取り組みをしたい人の溝をいかにサポートし、マーケティングや経営も含めデザインしていくかが重要。」といったご意見です。
そして、「成功例を見ると、一度、伝統の世界を出て行った人が「よそ者の目」を持って帰ってきて、イノベーションをしている。」というご意見には、一度就職をしたことで改めて日本舞踊の魅力を感じ、和ものびとを立ち上げた私自身も感じ入るところがありました。
ワークショップ「織物・焼き物の伝統製品をどのようにプロモーションするのか」
伝統産業を取り巻く状況がわかったところで、織物チーム、焼き物チームで2班ずつにわかれ、それぞれの伝統産業をどのようにプロモーションしていけばいいのかについてワークショップを行いました。
チームにはそれぞれ協力企業や団体も参加し、モデルとなってくださった企業の方にヒアリングをしながら、製品を取り巻く現状や解決していくべき課題、そしてその課題に対するアプローチ方法を話し合い、まとめていきます。
そして最後は発表。
審査員による審査を経て、結果発表を行いました。
4チームともそれぞれに個性があり、学生らしい自由な発想の詰まった発表でした。
最終結果は・・・「思い出を運ぶお皿」!レストランでの素敵な食事の想い出とともに、有田焼を買っていただくという企画案です。斬新な発想に私も心を動かされました。
このあとは振り返りや感想を共有する時間をはさんで交流会へと引き続き、和気あいあいと日本の伝統について話が弾みました。充実した内容やディスカッションに、企業、学生とわず、参加者は大いに刺激を受けたようです。
若い世代によるこうした熱い取り組みは、私たち和もの人にとって、とても嬉しい動きです。きっとこうした彼らの想いが日本の伝統文化を支え、発展させていってくれるはず!
ほんの少しだけ先をいく私も、できる限りのサポートをしつつ、自分の担う伝統芸能を守り、発展させていこうと心を新たにしました。
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