日本舞踊のかつらが出来るまで〜「かつら合わせ」ってなあに?
日本舞踊の舞台を形作る重要な要素のひとつ、「かつら」
みなさんこんにちは、日本舞踊家の藤間翔央です。歌舞伎から始まった日本舞踊では、様々なストーリーに合わせて色々な身分、職業の登場人物を踊ります。なかには人間以外の犬やネズミ、はたまた“雷”なんて空想上の役もあったりして・・・
もちろん、その登場人物がどんな役でどのような性格を持っている人なのか、見ている人にわかりやすいよう、役に合わせた衣裳や化粧、そしてかつらまで、様々な工夫がこらされています。
どれも奥が深くて面白いのですが、今回は「かつら」についてご紹介しましょう。
実は毎回、◯ー◯ー◯◯◯です
日本舞踊の舞台に不可欠な「かつら」は、実は公演のたびに一人一人の頭の形に合わせて、オーダーメイドで作られます。はい、そうなんです、使用するのはわずか1回の舞台だけ。公演が終わると、そのかつらの役割は終わりなんです。
しかも、かつらはすべて手作り。作業は分業制になっており、金属の台座部分をつくる職人「かつら師」さんと、髪を結って櫛やかんざしで仕上げる職人「床山(とこやま)」さんがいます。
こう考えると、とっても手間がかかった贅沢なものですね!!!
ということで、今回は、「かつら」が出来上がるまでの最初のステップ、「かつら合わせ」の様子をご紹介します。
「かつら合わせ」は、踊り手の頭に合わせて台座部分になる金属の型を作っていく作業です。
まずは、かつらの中におさまるように髪を羽二重(はぶたい)でまとめていきます。
なんとも手慣れた職人さんの技ですね!羽二重の白い部分には油が塗ってあり、頭に巻いてもすべってずれないようになっています。
続いて、踊り手の頭に合わせて、銅やアルミニウムの薄い金属板を加工していきます。
頭の丸みに合わせて、木槌や金槌で叩いて型を膨らませたり・・・
端を切り取って形を整えたり・・・
ちなみに、この作業台は分解してバッグに入れて持ち運びができるようになっているんですよ。
意外と頭の形って人それぞれ。しかも左右で丸みが違ったり、まとめた髪の量でも形が違ってきます。 地道に、合わせては切り、合わせては直すところに印をつけて、また叩いて・・・を繰り返します。
最後は、髪を結って仕上げる「床山」さんがかぶり具合を確認。OKがでたらやっと、STEP1.かつら合わせが終了です! ここから、かつら師さんによる髪の毛の取り付け、床山さんによる結いを経て、やっと1つのかつらが出来上がります。
はるか昔から受け継がれてきた職人技のほんの一部をご紹介しましたが、いかがでしたか。
今回の記事でご協力いただいた株式会社東京鴨治床山様のホームページでは、かつらが出来上がるまでの一連の流れや、床山よもやま話なども紹介されていますので、ぜひのぞいてみてくださいね!
また今後も日本舞踊の世界の面白さをご紹介していきたいと思いますが、もし「こんなこと知りたい!」「あれってどうなってるの?」というリクエストがありましたら、FacebookやTwitter、お問い合わせフォームからでも、ぜひお気軽におしらせください^^
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